洋 間   (ブルーノ・タウト設計)
link  タウトの部屋・・・|階段回り階段アルコーブ社交室洋間日本間和室5.5畳ベランダ|  日向の家Top

日向利兵衛のタウトへの依頼条件   その二、順現代風の洋間を造ってほしい。

洋間の造作材は古色付けされており、全体的に奥行の深さが強調されている。天井は元鼠色の漆喰塗り壁(現在は白のクロス張り)で、コーニス(ジャバラ)を廻し間接照明を基調としている。当初は四隅に60燭光程度の裸電球が吊下げられていた。
ガラス折戸は左右四枚で、薄板ガラスがはめられている。(当時のガラスは手作り、少し湾曲している)蝶番はオリジナルではなく、ランプ印スガツネに取り変わっている。
上部無目には、金属製のC型レールを取り付け、それぞれの吊り金具が開閉の機能を容易にしている(下部ガイド)
把手は階段手すりのフランジ同様、シンプルな造りとなっている。 
アルコーブや社交室同様に、腰壁は取り除かれてより大きな開口部をタウトが求めた結果、海側のロケーションは実に見事となり、一枚の絵画の如くの窓となり見る者を飽きさせない。
和室側との境界に欄間(織機の縦糸を通す治具)が、蝋色(黒)の額に納められている。数寄屋造りでは格調を重んじた蘭間として現在に至っている。
ワインレッドの壁は、群馬県高崎の生太織に染色、和紙を裏張りし内装されたもの。
群馬県の織物業(生絹、太織)
 1775(安永4)上州では、女性は常に絹織物業をしているので、戸外にでることはまれといわれた。紗綾(サヤ)(地紋に紗綾形がある絹織物)縮麺(ちりめん)、綸手(りんず)、緞子(どんす)龍紋(りゅうもん)、魚手(ななこ)、などいずれも高級織物を多く生産していた。京都西陣から織機の導入に加えて、染色技術を学んだ。一方高崎では養蚕、製糸、織物を一貫していた。

川原良一氏、タウトの部屋に来館。(群馬県高崎市)
 お祖父さんの作に間違いない。染色に大変苦労したと聞いているとの談誌。

生太織の染料は定かではないが、ドイツから輸入した化学染料と言われている。
水原徳言氏の談話
ワインレッドの染色は大変苦労一した。何度(5回〜)もやりなおした。
タウトは なかなか了解しなかった。

黒色付けされた張り付け桟は生太織のワインレッドを一層際立てる効果を発揮している。
チューダー様式か!
チューダー様式 Tudor sty1e
イギリスのチューダー王朝時代の建築様式で、第3期の垂直式につづく後期のゴシック様式をいう。建物の構成はゴシック式であるが、のきじゃばら(軒蛇腹)のくり型やチューダー花形と称する装飾文様にルネッサンス的なものが見られる。

急斜面の崖によって出来た上段との段差は約850oあるが、ユニークな階段によって、上段に客間が出来ている。チーク材の漆仕上げとなっている。この階段には不思議な特徴がある。


蹴上げには黒色付が施されており、上段の客間に奥行をもたせる工夫がある。また下段右端の踏面には丸みをもたせたフリーズ(水平帯)とし左側和室へと廻し框としている。上段正面には装飾的なフリーズを支えるような戸棚が左右にある。フリーズは鼠色に染められた絹が張ってあった。利兵衛に絵画の趣味を期待し、すべりガラスをはめたフリーズを造ったといわれる。また天井は間接照明とし、フリーズ部分を照らす目的からか、天井に勾配を設け、照明器具取り付け部分は灯の反射効果を期待し、白色の漆喰が塗られている。上段の間、左右は?欄間付きの扉としている。構造柱や仕切り壁によって出来た境界部分のエクストラ・スペース(余分)は、巧みにリカバリーされている。タウトは滋賀県の竹生島(琵琶棚で能楽を鑑賞、また京都にて能舞台を観賞しており、これらをスケッチして残している。

洋間の構成がら受ける全体的なイメージとしては、深みのある色彩と、上段の間、幅のある階段それぞれが一つの舞台や、海側の眺望を期待した観覧席とも見て取れる。染色された絹織物は、ヨーロッパや桂離宮にも用いられている。絹を使った壁や、建具(障子・襖)はタウトの脳裏に刻まれているものだ。構造上の問題として出来ていた斜壁は見事に解消されている。
和室との境にたて込んだ戸襖は、洋間側が楓の板張り・和室側は鳥の子和紙であったが現在、洋間側はクロスが張られている。

桐板を張った引き戸
真虹の壁は=高崎絹を真紅に染色し、和紙で裏打ちしたのち内装した。
江戸期から染色業が盛ん、桐生織など太織もある。
【経師(きょうじ)= 壁紙・壁布などの張り付け工事」
ミニ・サイドボードが左右に設えてあり、ボードに一連している帯状の部分は・日向氏が好んだ絵画が入れられていた。(ガラス戸があった)
天井が低い為、建築化照明(壁・天井の内部へ)としている。「間接照明・埋込照明」

崖をリカバリーした階段=長椅子の役目
1mの段差=「タウトや日向氏は、この階段に座して談笑した。」
※形状が各段違っている
「蹴上げ・踏面・繰型〕
上段の洋間は能舞台のイメージか?(部材に色付け=黒色付け)
天井を含めて全ての木部が濃い艶消しの鳶色(茶褐色)をしている。桂離宮の色調?
   コーニスを廻している(ジャバラ)

和紙を用いている。階段左張出には反りのある高欄がある。

ガラス折戸

 相模湾への全面開口を如何に美しく大きく確保していくのかのテーマにそってこの折り戸がもうけられた。(アルミのサッシは後に設けられた)











|HOME|旧日向別邸保存会概要|お問い合せ|ニュースリリース|旧日向別邸保存基金募集|お知らせ|リンク|
Copyright (C) 2009 旧日向別邸保存会 All Rights Reserved
inserted by FC2 system