特集 画帖 桂離宮
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(ブルーノ・タウト 桂離宮とユートピア建築より抜粋)



1934年5月7日にタウトは二回目となる桂離宮を訪問し、4時間ほど滞在し、後、記憶を辿りながら27枚のスケッチを描き「回想桂離宮を拝観して」とした。画帖桂離宮は、タウトが見たままの「関連性」を絵で分析し綴ったものである。
タウトが歩んだ順路は、通常、客や主人が出入りする古書院からスタートしてしていない。松琴亭に向かう100メートルほどの路地から始め、景色が最も美しく変化する3力所をみていく。入り組んだ谷の後、待合のある静かな渓谷の横を通り、さらにのどかな小さな川と滝を通過する。そこでタウトは「世界は美しい」と歌う。滝の後ろから、石橋と松琴亭を眺める。さらに進むと景観が劇的に変化し、タウトが言う[変わり目]に辿り着くら石に覆われた半島が天の橋立のように連なり、ごつごつした石の浜に囲まれ、細い石橋を渡ると茶屋の前に佇む。タウトは、歩きやすい散歩道ではなく、飛び石や狭い危険な橋を渡る長い不便な道をあえて通る。そして「(危険を冒したいか)よく考えてください」と警告する。しかし、茶会での修行や哲学的な時間を経験した後、松琴亭の青と白の格子縞の壁紙や床の間によって解放される。さらに「どうぞ幸せに」と告げ、花であふれた山の目然の中を楽しげに歩き続けた。


「ブルーノ・タウト 桂離宮とユートピア建築 より引用 (ワタリウム美術館編集出版)
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